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★2012-12-8★
日経新聞の社説: 「 『安全』 を磨いて自動車の魅力を高めよう」 から

 12月8日の日本経済新聞朝刊の「『安全』を磨いて自動車の魅力を高めよう」という社説が掲載されていました。

 グッドタイミングでの当該社説掲載なので、社説を執筆した方は、ISO39001(RTSMS:道路交通安全マネジメントシステム)をご存知か否かはわかりませんが、正にISO39001と関連する内容であるためテーマにしたいと思います。

 ISO39001が今年の10月に発行されて以来、と言いますか発行される以前から、当該規格は注目を浴びている規格でした。何といっても、目的が「交通死亡事故・重傷事故防止」であり、国連が2011年から10年計画で取り組んでいる「交通安全のための行動の10年」にもマッチする規格です。

 個人的には、この国連の取り組みが我が国ではあまり報道されていないことが不思議でなりません。交通事故で命が絶たれることは、ある日突然、発生することであり、遺族の方にとってはまさに想定外の出来事です。このような出来事は、ある意味、環境問題よりも重要なのではないでしょうか。

 話題を元に戻しましょう。

 何かと注目を浴びていた、交通死亡事故・重傷事故防止の規格であるISO39001ですが、注目している業界として情報が入ってくるのは、
 ・運送事業者
 ・その他、ISO39001をマーケティングに活用したい組織
がほとんどのような気がします。

 どちらの組織もISO39001に取組むことは良いことだと思います。

 特に、大型車両(大型に限りませんが)を運行する立場である運送事業者にとっては、「運輸安全マネジメント」と同じく無視できないと思われます。

 しかし、運送業者だけが交通事故対策に取組んでも、成果は限られています。

 ISO39001の “6.3パフォーマンスファクタ”(交通死亡事故・重傷事故を防ぐために管理すべき要因)には、次が含まれています。
  ・死亡・重傷事故が起こりにくい道路設計・・・・・
  ・安全な乗り物の導入・・・・・

            (ISO39001は原文が英語のため、日本語訳は筆者独自のもの)

 このことはまさに
  ・道路を設計、設置及び維持管理する組織の取り組み
  ・自動車メーカーの取り組み(自動車関連メーカーを含む)

 ですね。

 しかし、これらの組織は、ISO39001に興味を持っているという組織としてあまり、聞こえてこないのです。

 “道路を設計、設置及び維持管理する組織”とは、具体的に国土交通省、都道府県、市町村や各道路関係組織(道路公社や高速道路会社等)ですね。

 もちろん、今回の中央自動車道笹子トンネルを管理している中日本高速道路会社はISO39001への取組み途中であり、その成果が出る前にこのような事故が発生したことは残念ですが、今後の再発防止のツールとしてISO39001が有効活用されていくでしょう。

 また、自動車会社(自動車メーカー)がISO39001に興味を持っているという情報も正式には聞こえてきません。
 自動車関連メーカーとしてドイツのBOSCH社が、大々的にISO39001への取り組みを発表したのは確か今春だったと思いますが、日本のメーカーは?。

 ISO39001策定の議長国であり、「ビジョンゼロ」という交通死亡事故・重傷事故防止の取り組みで大きな成果を挙げているスウェーデンに出向き、その責任者に確認したところ(2011年11月、2012年6月)、「日本のメーカーはISO39001に好意的である」との発言でしたが、なかなか日本国内では聞こえてこないのです(私が知らないだけかもしれませんが)。

 日本経済新聞の社説にもあるように、日本には富士重工の「アイサイト」を始め素晴らしい安全に対する技術があり、その圧倒的な安全に対する技術力で他国との競争に打ち勝っていただきたい。そのためには、自動車メーカーもぜひ、ISO39001(RTSMS:道路交通安全マネジメントシステム)に目を向けていただきたいのです。

 また、交通死亡事故・重傷事故の防止は、自動車メーカー、運送事業者だけでは成果に限界があります。やはり、 “道路を設計、設置及び維持管理する組織”の代表的組織である行政機関(国、都道府県、市町村)にもISO39001に興味を持っていただきたい。
 10月の時点では、国土交通省は、「運輸安全マネジメント制度とともにこの規格(ISO39001)のさらなる普及・促進を目指してまいります」との見解でしたが、具体的にどのように普及・促進対策を講じていくのかが不明な点でもあります。

 国土交通省がISO39001の普及・促進を目指す立場であるのなら、今回の中央自動車道笹子トンネルの事故に関連して、ISO39001に関連するコメントが出るのかと期待していたのですが、まだ出てきていないようですね。

 さらに、国土交通省がISO39001の普及・促進を目指すのであれば、ISO39001のJIS化を一日も早く実現していただきたいのです。もちろん、省庁における役割があり、経済産業省との調整もあると思いますが、交通死亡事故・重傷事故を防止するうえで必要な処置として、まず、ISO39001のJIS化が必要と思われます。

 もちろん、国(国土交通省)だけの取り組みではなく、都道府県、市町村レベルでの取り組みが必要です。

 これは、私の個人的な希望ですが、世界一の企業である(私はそう思っています)トヨタ自動車のお膝元である、愛知県豊田市は、ぜひ、世界的な交通安全都市を目指し、様々な取り組み・活動を行っていただきたいのです。

 スウェーデン訪問時に、「ビジョンゼロ」とISO39001策定の責任者から受けたレクチャーでは、ボルボの本社があるヨーテボリ市は、正に交通安全都市であり、様々な交通事故防止対策が施されているとのこと。このスウェーデンのヨーテボリ市に倣って、豊田市はヨーテボリ市を超える交通安全都市を実現していただきたい。

 そのためには、トヨタ自動車も必ず全面的に協力すると思います(私の全くの私見ですが)。

 少し前のことですが、ゴールデンウィークの関越道のバス事故の件ですが、当該事故では7名の方がお亡くなりになりましたが、果たして、7名も亡くなる必要があったのか?バスが突っ込んでいった遮音壁が別の構造や設置方法であれば、7名まで亡くならなくてよかったのではないか?

 この遮音壁についても、ISO39001の取り組みにより何らかの処置が施せる対象であると思います。

 ISO39001は交通死亡事故・重傷事故防止に万能ではありません。所詮、ヒトが仕組みを構築し、運用するものですから。ただ、確率的に交通死亡事故・重傷事故が削減できるツールであることは間違いないでしょう。

 日本経済新聞の社説に “国際標準の獲得にも政府は積極的に取り組んでほしい”と記載されており、当該内容は、ハード的な国際標準を指していると思われますが、ソフトであるISO39001(RTSMS:道路交通安全マネジメントシステム)にも政府は積極的に関与していただきたく思います。ISO39001の要求事項には、ハード対策も満載ですから。

★2012-12-8★

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